大会長挨拶

GREETING
第22回日本臨床プロテオゲノミクス学会 大会長 田村彰広

皆さま、こんにちは。
第22回日本臨床プロテオゲノミクス学会の大会長を務めます、
神戸大学小児科の田村彰広です。
本学会の運営に日頃よりご尽力いただいている理事・会員の皆さま、
そして本大会を支えてくださるすべての関係者の皆さまに、
心より感謝申し上げます。

プロテオゲノミクスが切り拓く新たな医療の地平

プロテオゲノミクスは、ゲノム情報だけでなく、タンパク質の発現・修飾・機能、細胞内ネットワークを包括的に捉えることで、疾患の本質に迫る革新的な学術領域です。
がん、免疫疾患、神経変性疾患などの複雑な病態解明には、とりわけタンパク質レベルでの可視化が不可欠となっています。

私自身は、小児がんのFFPE(ホルマリン固定パラフィン包埋)標本を用いたプロテオーム解析に取り組んでいます。FFPE標本は世界中で10億以上が保存されているとも言われ、詳細な臨床情報と紐づいた「膨大な生体資源」です。

かつては固定処理によるタンパク質の架橋が大きな障壁でしたが、近年の前処理法や質量分析技術の飛躍的進歩により、FFPEからも高品質な解析が可能となり、希少疾患の理解や創薬の加速に大きく寄与し始めています。

小児がんをはじめとした検体数が限られた領域では、FFPE標本の利活用が今後の研究と臨床の重要な突破口となると確信しています。

技術から臨床へ ― 「橋渡しと実装」が次のステージ

質量分析、バイオインフォマティクス、AI、そして空間解析へと、プロテオゲノミクスを取り巻く技術革新は目覚ましいものがあります。一方で、それらを臨床現場で再現性・解釈性・実用性を担保しながら活用することが、これからの重要な課題です。

大会長任期中は、

  • 基礎と臨床の橋渡し
  • 技術と倫理の調和
  • 解析と臨床解釈の統合

を重視し、分野を越えた対話が生まれる場を創出したいと考えています。

また、若手研究者の育成、多様なバックグラウンドを尊重した研究環境づくり、さらには産学官連携の強化にも積極的に取り組んでまいります。

神戸での開催 ― 先端医療と自然が共存する都市で

次回大会は、先端医療技術と国際性が融合する神戸で開催いたします。
神戸医療産業都市を中心として、先端医療研究、創薬、バイオサイエンスにおける多くの研究機関が集積しており、国内外の皆さまの交流に最適な環境が整っています。海と山に囲まれた美しい神戸の地で、知的刺激に満ちた学術集会をご提供できれば幸いです。

本大会のテーマ

「臨床実装への架け橋 ― プロテオゲノミクス最前線からの挑戦」

臨床応用を見据えた最新研究、AIを活用したバイオマーカー探索、シングルセル・空間解析との統合、FFPE標本の高度利活用など、未来の医療につながる多様なセッションを企画しております。
本学会が、領域を越えた協働と新たな知の創出につながる場となることを願っています。

結びに

プロテオゲノミクスの発展は、一人の力では成し得ません。
多様な専門性を持つ皆さまとオープンに議論し、協働することで、臨床実装へ向けた道はさらに拓かれていくと確信しています。

皆さまのご健勝とご活躍をお祈り申し上げるとともに、神戸でお会いできますことを心より楽しみにしております。

第22回日本臨床プロテオゲノミクス学会 大会長
田村 彰広(神戸大学小児科)